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執筆者の写真自分塾 室長 北岸

ESAT-J 中学校スピーキングテストについて2 対策


11/11、都教委の方から新しくスピーキング対策の動画が一本公開されました。


知っている人はすでに知っている内容で、特に新規性もなくがっかりしたかと思いますが、

採点基準や答え方など参考になる方もいらっしゃるかもしれませんので共有したいと思います。これは令和3年度のプレテストをもとに動画が作成されています。

令和3年度のプレテストはこちら

令和3年度プレテストの解答例

採点基準はこちらです。


まずはパートAからパートDまでパート毎に採点項目が異なる点です。

Bの文法や音声はまったく評価されず、逆にCやDはすべてが評価対象となっています。


要点は以下

①パートA 

: 音声評価のみ。間をとったり言い直してもよい。区切り方やイントネーションも重要

②パートB

: 内容(伝わるか伝わらないか)のみで評価される。単語だけでも良い

③パートC

: 音声、文法、内容すべてで評価される。かなり差が付くため対策は必要。

④パートD

: 音声、文法、内容すべてで評価される。意見と理由を述べる。


①パートA

パートAは原稿を読むだけの問題です。ただし基準が4段階まで分かれており、基準の内容をよく知っておくことが必要です。採点基準はこちらです。下段の音声の項目を見てください。


4段階の最高基準では、以下の3点が書かれています。

・、発音、語や句、文における強勢、イントネーションやリズムが、母語の影響

を受けている場合があるが、概ね正しい

・発音は概ね正しく、強勢、リズムや抑揚が、聞き手に混乱をもたらすことはない。

・言葉や言い回しを考えたり、言い直したりするために、間(ま)を取ること

があるが発話中の間(ま)は、概ね自然なところにあり、不自然に長くない。


まずは1.単語の発音、2.強勢(アクセント)、3.イントネーション、4.リズムと5.抑揚を基準としていることが分かります。英検のスピーキングテストと明らかに違うのは、原稿が発表用のものであるため、疑問文や呼びかけがあることです。そのためイントネーション、抑揚、間を意識する必要があります。また、区切る場所を明確にすること、前置詞や冠詞を弱く読み、重要な単語を強く読むなどしてリズムを作ることも重要です。


つぎに最高基準の評価でも、言い回しを考えたり、言い直したりするために間を取ることがあるが、不自然に長くなければよいという点は覚えておいてもよいでしょう。

また公表されている採点場所はフィリピンであるということからも、なまりの無い英語を求めているわけではありません。採点基準を抑えて練習しつつも、完璧は目指さないことも試験では重要です。


②パートB

パートBは全四問ですが、採点項目がコミュニケーションの達成度(2段階評価)であることがとても大きい点です。これは絶対に意識しておきましょう。まずは一つ例を見ていきます。


What do we need to take to the event? という問いに対しての正答例を見ていきます。

①We need to take water and a cap.

②Water and cap

③You should take a bottle of water and a cap.


①~③のすべてが正解とされています。そして〇か×かの2段階評価ですのでこれらはすべて同じ点数として扱われます。

②に関しては冠詞のa が無いなどの文法的なミスもありますが、採点基準はコミュニケーションの達成度にあります。つまり伝わればよい、ということです。


あとは公式の動画にもある通り、疑問詞(What, Which, how much など)について抑えておく必要があります。


③パートC

パートCは4コマイラストを説明するパートです。採点項目は多く、

各コマのコミュニケーションの達成度(2段階)×4コマ、(0-4)

言語使用(5段階)(0-4)

音声(4段階)(0-3)

単純に合計するとしても(0-11)という差が付くパートとなりそうです。


一人称、過去形ということは確定していますので、過去の動詞の表現をしっかり押さえる必要があります。最低限、どこで、何を、どうしたかを述べるようにしましょう。

言語使用の5段階では、Aの正答例とBの正答例を見比べてみてもかなり差がありそうです。過去3年度のパートCはすべて昨日起こった出来事を時系列で述べる問題ですので、このタイプの練習をしておくのがよいでしょう。


公式の動画にもある通り、時系列で説明するうえで重要な、first, then などの簡単な副詞を入れてアイデアを順序だててつなげていきましょう。言語使用の採点基準を見ても、「簡単なアイデアを順序だててつなげることができる」「アイデア間の関係性を整理して」等とあるため、文と文をつなぐ接続詞や副詞をいれることが重要であると読み取れます。


④パートD

パートDは質問に対して意見と理由を答えるパートになります。

採点基準は

コミュニケーションの達成度(2段階)×(意見と理由それぞれ)、(0-2)

言語使用(5段階)(0-4)

音声(4段階)(0-3)

単純合計(0-9)


これは英検などの2次試験や都立の3行英作などで練習して慣れている方も多いのではないでしょうか。まずは自分の意見を述べ、次にその理由とそのサポート文を述べる形になります。採点基準を見てもわかる通り、最低でも意見と理由を述べる必要があります。

以下は、解答例を見比べて読んでください。

発表されている基準B中程度のものでは意見1,理由その1,理由その2の3文で答えていて、最高基準のAの回答例では意見+理由1,サポート文1の長い2文で答えています。

つまり理由の数は一つでも二つでもよく、文の数についても2文3文4文と形式的に考える必要はないということです。内容と文の構造、文法と語彙の豊かさが評価AとBを分けているものだと考えます。


また、音声の評価では、言葉や言い回しを考えたり、言い直したりするための間をとることは不自然に長くない限り失点とはなりません。英検と同じく、つなぎ言葉としての

well ... let me see ... uh... などの表現を混ぜつつ自然に間を取りましょう。


最後に注意しておきたい点は、過去問のうち、令和3年度のみ英語音声のみで画面表示なしとなっている点です。令和元年度、令和2年度は文が画面表示されて質問文が分かった状態でしたが、3年度は聞き取りも必要になっています。文も長くなり、大きく難易度をあげてきています。練習する際は注意しましょう。


練習素材としては、東京都が用意してある特設ページ(こちら)にある中でも

話すことトレーニング(こちら)が無料で手に入る中では最適でしょう。

それ以外はこのスピーキングテストを受注したベネッセが主催しているGTECの中でも

GTECcore, GTECbasic の教材を参考にするのがよいかもしれません。

ベネッセは利害関係者として中学校スピーキングテスト教材を公式には出せない状況にあります。そのためどうしても教材は限られてしまいます。


学習塾に通っている方は塾に、そうでない方は学校の先生に相談して、チェックしてもらうのも良いでしょう。スピーキングはとかく対策のしにくい分野です。形式的に非対応な教材であればそれなりに数があるものの、難易度的な調整も難しいテストのように感じます。


まずはプレテスト3年度分をしっかりこなし、その公式の解答例や採点基準などをよく見ることが重要でしょう。都教委が出した最終チェック動画などもヒントが多く書かれています。受験生の方は情報に混乱した場合は考え込まずに学校の先生や塾の先生に相談しましょう。








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